差別を解消することを目的にした3つの法律(人権3法)をご存じですか?
- [公開日:2019年3月27日]
- ID:2203
ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます
人権3法
2016(平成28)年に差別を解消することを目的に、3つの法律が施行されました。
それぞれの法律とその目的をご紹介します。
障害者差別解消法
2016(平成28)年4月に「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」が施行されました。
障がいのある人もない人も互いにその人らしさを認め合いながら、共に生きる社会を作ることを目指しています。
この法律では、国・都道府県・市町村や会社やお店などの事業所などに対し、「不当な差別的取扱い」を禁止し、「合理的配慮の提供」を求めています。
不当な差別的取扱いの禁止とは?
障がいのある人に対して、正当な理由なく、障がいを理由として差別することを禁止しています。
学校の受験、入学を断ることや受付の対応をしないなど、サービスの提供を拒否することや、サービスの提供にあたって場所や時間帯などを制限すること、障がいのない人にはつけない条件をつけることなどが禁止されています。
また、正当な理由があると判断した場合は、その理由を説明し、納得を得られるよう努める必要があります。正当な理由としては、安全を確保するため、経済面の保全のため、行為の本来の目的や内容を維持するため、損害の発生を防止するため、などが挙げられます。
合理的配慮の提供とは?
障がいのある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応すること(事業所に対しては、対応に努めること)を求めています。
また、本人が意思の表明を行うことができず、家族などの支援者が意思の表明を行う場合や表明がなくても合理的配慮の提供が必要だと考えられる場合も、配慮を行うことが必要と言えます。
障害者差別解消法 条文
奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例
奈良県では、すべての県民が、障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら、安心して幸せに暮らすことができる社会の実現を目指した条例である「奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例」が2016年4月に施行されています。
この条例では、障害を理由とする不利益な取扱いや合理的な配慮の不提供を禁止するなど障害者差別解消法と似た内容になっています。
では、障害者差別解消法とこの条例は何が違うのでしょうか。
障害者差別解消法との主な違い
障害者差別解消法では上記のとおり、対象者を「行政機関等」と「事業者」に限定しています。また障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止は、両者ともに法的義務とし、合理的な配慮の提供は、「行政機関等」に法的義務、「事業者」には努力義務としています。
一方、条例では対象者を「全ての人」として限定していません。また、障害を理由とする不利益な取扱い及び合理的配慮の不提供も「全ての人」に障害を理由とする差別として禁止しています。
ヘイトスピーチ解消法
2016(平成28)年6月に「ヘイトスピーチ解消法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)」が施行されました。
特定の民族や国籍の人々を排斥し、不安や差別意識を煽る差別的言動(ヘイトスピーチ)をなくすことで、民族や国籍などの違いを豊かさとして認め合い、互いに人権を尊重しあう社会を築くことを目指しています。
この法律は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組について、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定めて推進することを目的としています。
国の責務
- 不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策の実施
- 地方公共団体が実施する施策に必要な助言など
- 不当な差別的言動に関する相談に応じる
- 不当な差別的言動に関する争いの防止・解決のために必要な体制を整備する
- 教育活動の実施と取組
- 広報その他の啓発活動の実施と取組
地方公共団体の責務
- 地域の実情に応じた施策を講じるよう努める
- 不当な差別的言動に関する相談に応じるよう努める
- 不当な差別的言動に関する争いの防止・解決のために必要な体制を整備するよう努める
- 教育活動の実施と取組
- 広報その他の啓発活動の実施や取組を行うよう努める
ヘイトスピーチ解消法 条文
部落差別解消法
2016(平成28)年12月に「部落差別解消法(部落差別の解消の推進に関する法律)」が施行されました。
現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化に伴ってインターネット上への差別的な書き込みなど部落差別に関する状況が変化していることを踏まえ、部落差別は決して許されないものであるとの認識のもとに、部落差別がない社会の実現を目指しています。
この法律では、国と地方公共団体の責務を明らかにしています。
国の責務
部落差別の解消に関する施策を講じる。
- 地方公共団体が必要な情報の提供・指導・助言を行う。
- 相談体制の充実を図る。
- 教育及び啓発を行う。
- 地方公共団体の協力を得て、部落差別の実態に係る調査を行う。
地方公共団体の責務
部落差別の解消に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、地域の実情に応じた施策を講じるよう努める。
- 相談体制の充実
部落差別に関する相談に的確に応じるための体制の充実に努める。 - 教育及び啓発
部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うよう努める。
部落差別解消法 条文
- PDFファイルの閲覧には Adobe Reader が必要です。同ソフトがインストールされていない場合には、Adobe社のサイトから Adobe Reader をダウンロード(無償)してください。
差別のない社会をつくるために
御所市では、人権3法が目指している、だれもが個人として等しく尊重され、共生していく差別のない社会の実現を目指しています。
その実現には、わたしたち一人一人が人権を身近な問題として考え、正しく理解し行動することが大切です。今回紹介した法律を知ることから、あらためて人権について考えてみませんか。