ふれあい人権セミナー〈2022年度〉
- [公開日:2023年2月21日]
- ID:2330
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目的
さまざまな人権問題について、正しい知識と認識を培うため学習する機会を提供し、差別をなくすための実践力を養うことを目的に、市民をはじめ、広く社会教育関係団体、地域・諸団体のリーダー等を対象としてセミナーを開催しています。

開催テーマと日程
今日的な人権問題とわたしたちの課題についてテーマを設定し、連続講座形式で行います。
開催日 | 研修テーマ | 講師 | |
---|---|---|---|
1 | 6月14日(火) | 障がい者 | 一般社団法人 奈良県手をつなぐ育成会 |
2 | 8月23日(火) | 部落問題 | ジャーナリスト |
3 | 10月18日(火) | 少年犯罪 | 作家 |
4 | 11月15日(火) | 多様性 | とよなか国際交流協会 |
5 | 12月13日(火) | 外国人支援と夜間中学 | 外国人労働者 奈良保証人バンク |
6 | 令和5年2月14日(火) | 自殺対策 | いこまカウンセリングルーム こころ |

会場
御所市人権センター 体育室

開講時間
13時30分から15時

学習形式
講義形式

参加方法
参加無料・申込不要
連続講座形式ですが、興味のある講座のみの参加も可能です。お気軽にご参加ください。
※新型コロナウイルス感染拡大の状況により、開催を変更・中止とする場合があります。その際は、このページ等でお知らせします。

開催報告〈第1講から第6講〉

第1講「知ってください!知的・発達障害のこと ー疑似体験ワークショップー」
「ふれあい人権セミナー」第1講を、6月14日、人権センターにおいて開催しました。
今回は「知ってください!知的・発達障害のこと - 疑似体験ワークショップ - 」と題して一般社団法人奈良県手をつなぐ育成会の啓発キャラバン隊「なら ほんわか♡はーと」さんに講演とワークショップをしていただきました。
障害を持つ人が暮らしやすい社会は、誰もが暮らしやすい社会につながります。目に見えるような物理的なバリアフリーは技術の進歩によってどんどん解消してきています。しかし、心のバリアフリーは偏見や思い込みなどがいまだに根強く残っており、払しょくされていません。相手の気持ちになって考えることが大事だと自分ではわかっているつもりでも、改めて言われるとそれが実践できていたかどうか確信をもてない自分がいます。またワークショップでは、知的・発達障害の人の気持ちが理解できる疑似体験を行っていただき、支援の仕方やどの様なサポートが必要かを教えていただきました。
「共に生きる社会を目指す」、文章や口に出すことは簡単です。一人ひとりが思いやりながら暮らすことのできる社会を目指すことを実践していくことが大事であると感じました。

第2講「これからの部落問題」

「ふれあい人権セミナー」第2講を、8月23日、人権センターにおいて開催しました。県内でもコロナ感染が拡大しており、開催自体が危ぶまれる中ではありましたが、感染症対策を取りつつ開催いたしました。
毎年8月は部落問題を中心とした講座を開催しています。今年は「これからの部落問題」と題してフリージャーナリストの角岡伸彦さんをお招きし、ご自身の生い立ちから、部落の歴史・インターネットと部落問題を中心としたご講演をいただきました。インターネットにおいては部落問題にだれもが簡単に触れることや書き込むことができ、また調べることもできます。ネット上には良い情報ばかりが載っている訳ではなく、差別を助長するような書き込みも多く載っています。若い世代の多くは、インターネットを通じて初めて部落問題と接することもあると思います。そのような中、最初の出会いからマイナスのイメージをもつことは、人としても大変不幸な出会いであり、幸福な最初の出会いの場が必要とおっしゃっていたことがまさにその通りだと私自身思いました。

第3講「あふれでたのはやさしさだった ー奈良少年刑務所 絵本と詩の教室ー」
「ふれあい人権セミナー」第3講を10月18日、人権センターにおいて開催しました。今回は「あふれでたのはやさしさだった ー奈良少年刑務所 絵本と詩の教室ー」と題して作家の寮美千子さんを講師にお招きし、ご講演いただきました。
寮美千子さんは、10年間、奈良少年刑務所の更生教育である「社会性涵養プログラム」の講師として受刑少年たちを対象に「絵本と詩の教室」を行ってこられました。この教室では、さまざまな背景の中で犯罪をおかし、入所してきた少年たちの中で、とりわけコミュニケーションに困難を抱える少年たちを対象に行われました。その授業の中で、特に彼らが「詩を書く」ことを通して、閉じ込められてきた心を開き、自分らしさを取り戻していく様子を彼らの詩を紹介しながら話されました。彼らが生き生きと変容していく姿が伝わると同時に、彼らがどうすれば犯罪をおかさずにすんだのか。また再犯を繰り返さないためにも彼らをどのように受け容れるべきなのかを考えさせられる講演でした。
次回の第4講は11月15日(火)に「多様性」をテーマとして、とよなか国際交流協会の三木幸美さんをお招きして開催を予定しています。新型コロナウイルス感染拡大により開催を中止させていただく場合がございます。その際は、このホームページ等でお知らせさせていただきます。

第4講「私からはじめる 私たちの多様性社会 ー熱と光をたぐり寄せてー」
「ふれあい人権セミナー」第4講を11月15日(火)御所市人権センターにおいて開催しました。今回は「私からはじめる 私たちの多様性社会 ー熱と光をたぐり寄せてー」と題してとよなか国際交流協会の三木幸美さんを講師にお招きし、ご講演いただきました。
三木さんは、大阪の被差別部落で、日本人の父とフィリピン人の母との間に生まれ、8歳で日本国籍を取得するまで無国籍児として育ちました。三木さんは幼少の頃、フィリピン人の母が不法滞在の状態であったため交通事故被害にあっても助けを呼べなかった話や、母が外国人であることで受けた外国人差別、また被差別部落で生まれたことで受けてきた差別などさまざまな話をされました。日本に住む外国人には3つの壁(法律・制度の壁、言葉の壁、心の壁)があるということ、その壁があらゆる差別につながり、部落問題も「寝た子を起こすな」と言う人もいる中で、三木さんは目をとじて見えなくするのと差別がなくなるのはちがうと強く語られました。講演を聞いて、あらゆる差別に対しても自分のこととして考え続け、人のつながりや、人に寄り添える社会づくりを目指していくことが大切であると感じました。
次回の第5講は12月13日(火)に「外国人支援と夜間中学」をテーマとして、外国人労働者奈良保証人バンク事務局長・西和に夜間中学をつくる会事務局長の山本直子さんをお招きして開催を予定しています。新型コロナウイルス感染拡大により開催を中止させていただく場合がございます。その際は、このホームページ等でお知らせさせていただきます。

第5講「外国人労働者の課題と夜間中学 ー西和自主夜間中学の歩みからー」
「ふれあい人権セミナー」第5講を12月13(火)御所市人権センターにおいて開催しました。今回は「外国人労働者の課題と夜間中学 ー西和自主夜間中学の歩みからー」と題して外国人労働者奈良保証人バンク事務局長の山本直子さんを講師にお招きし、ご講演いただきました。
山本さん自身が町議会議員時代に、ある方から外国人労働者の問題で相談を受け、当時の外国人労働者とその家族が置かれていた大変な状況を目の当たりにしたことがきっかけで1992年、「外国人労働者奈良保証人バンク」を設立されました。あらゆる相談・在留に絡む入管対応・身元保証人等の生活支援が主な活動です。その他さまざまな支援活動の中で見えてきた課題として浮かびあがったのが、「言葉の問題」でした。日本に定住し、地域の住民として生活していくうえで、例えば市町村等の情報について理解できる言葉での対応をしておらず、結果として情報を入手できない状況にあります。そんな中、「西和地域に自主夜間中学を立ち上げてほしい」という声に応えて、山本さんは多くの有志ボランティアの力を集め、1998年奈良県で2番目の自主夜間中学「西和自主夜間中学」を開校され、事務局長として夜間中学運動にも関わるようになられました。西和自主夜間中学では現在9か国27名の生徒さんが学んでおられ、ほぼ9割が外国籍の方です。学習以外でもさまざまな相談が寄せられることが多く、その支援もされています。最後に、山本さんは「私たちの地域に在住する外国人が増えてきている一方で、外国人労働者及びその家族の現状は見ようとしなければなかなか見えてこない問題です」と話されました。講演を聞いて、身近な問題として向きあっていかなければいけないと感じました。
次回の第6講は令和5年2月14日(火)に「自殺対策」をテーマとして、いこまカウンセリングルーム こころ代表の神澤 創さんをお招きして開催を予定しています。新型コロナウイルス感染拡大により開催を中止させていただく場合がございます。その際は、このホームページ等でお知らせさせていただきます。

第6講「自殺対策」
「ふれあい人権セミナー」第6講を2月14日(火)御所市人権センターにおいて開催しました。今回は「自殺対策」と題していこまカウンセリングルームこころ代表の神澤創さんを講師にお招きし、ご講演いただきました。
神澤さんは大学院在籍中から臨床心理士として活動し、心理療法を中心に、心と体の健康に関する研究と実践を続けてこられました。その後、大学教授を経て、現在は「いこまカウンセリングルーム こころ」の代表を務めておられます。まず、初めにコロナウイルスの影響で近年、自殺する人が増えてきている現状や、自殺の原因・背景についてお話ししてくださいました。その中で「ゲートキーパー」という言葉が出てきました。「ゲートキーパー」とは、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応を図ることが期待される人のことで、生きづらさに気づき、生きることを支援する人、声をかけたり、話を聴いてあげたりすることで誰もが「ゲートキーパー」になれることを教えてくださいました。話を聴く時は、「傾聴」の姿勢が大事であり、励ましたり、押し付けたり、説得したりしないでほしいと話されました。後半は、実際に参加者が体験するワークショップがありました。3人1組で「話す人」「聴く人」「観察する人」で具体的なケースについてどのように声をかけたらいいのかを考えていきました。講演を聞いた参加者の方からは、「ゲートキーパーという言葉が知れたことは本日受講した最大の学び気づきです。傾聴、相手のための質問ができるよう頑張ります。」といった感想がありました。私たちも講演を聞いて 、聴くことでその方の心の負担などを軽くすることができるということを改めて勉強させていただき、相談業務等に生かしていきたいと思いました。
今年度のふれあい人権セミナーを無事に終了することができました。ありがとうございました。来年度も多くのご参加をよろしくお願いいたします。開催日等、決定次第ホームページ等でお知らせします。