○御所市議会基本条例
令和8年2月27日
条例第1号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条―第5条)
第3章 市民と議会との関係(第6条―第13条)
第4章 議会と行政との関係(第14条―第19条)
第5章 議会運営(第20条―第23条)
第6章 議会機能の強化(第24条―第28条)
第7章 政務活動費(第29条)
第8章 議員の政治倫理、定数及び報酬(第30条・第31条)
第9章 最高規範性及び見直し手続(第32条・第33条)
附則
日本国憲法及び地方自治法に基づき、市民の選挙によって構成される議会は、市長と対等の立場で二元代表制の一翼を担う独立した意思決定機関である。よって議会は、行政を追認するだけの組織ではなく、自ら政策を構想、提案し、審議及び監視を通じて市民福祉と公共の利益の実現を先導しなければならない。
御所市は、人口減少、少子高齢化、地域経済の変容、地域のつながりの希薄化など複合的課題に直面している。こうした時代にあって議会が果たす責務は、かつてないほど重い。議会は、市民の信託に応え続けるため、自らの使命を絶えず問い直し、その機能と姿勢を刷新し続けなければならない。
そこで御所市議会は、市民に開かれた議会運営を実現するため、議員の責務、市民、行政との関係、政策形成、評価の手法、情報公開と説明責任、自己改革の仕組み等を包括的に定めるため、この条例を制定する。
私たちは、市民との対話と協働を議会の原点とし、全ての議員が公共的使命と高い倫理性を自覚して行動することを宣言する。また、市民参加の推進、広報・広聴体制の強化、熟議と合意形成を重視する議会文化の醸成に不断に取り組む。
議会は、単なる討議の場ではない。市民と共にまちの未来を構想し、言葉と意思で社会を動かす公共の舞台である。御所市議会は、多様な価値観を尊重し、誰もが誇りと希望をもって暮らせるまちを創るため、開かれた議会として説明責任を尽くし、常に自己を省みることをここに誓う。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき、二元代表制における合議制の意思決定機関である御所市議会(以下「議会」という。)の果たすべき役割を明らかにするとともに、議会及び議会の議員(以下「議員」という。)に関する基本的事項を定めることにより、議会が市民の負託と信頼に応え、市民全体の福祉の向上と公正で持続可能な市政の発展に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
(1) 公平性、公正性及び透明性を確保し、市民に開かれたクリーンな議会を目指すこと。
(2) 市民視点を重視した意思決定、監視及び評価を行うこと。
(3) 市民に対する説明責任を果たすとともに、情報公開及び情報共有(以下「情報公開等」という。)に努めること。
(4) 主体的に政策立案及び政策提言(以下「政策立案等」という。)に独自に取り組むこと。
(5) 議会活動を継続的に検証し、不断の議会改革に取り組むこと。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
(1) 議会が言論の府であることを認識し、自由で活発な討議を重んじて合意形成に努めること。
(2) 日常的に情報収集を行い、市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映すること。
(3) 不断の調査研究及び研修を行い、議員としての見識及び能力を磨くこと。
(4) 特定の団体又は地域の立場にとどまらず、市民全体の利益を重視すること。
(会派)
第4条 議員は、同一の政策理念を有する他の議員と議会活動を行うため、会派を結成することができる。
(議長及び委員長の責務)
第5条 議長は、議会の代表者として、中立かつ公正な立場で職務を遂行するとともに、議会の品位を保持し、民主的かつ効率的な議会運営を行わなければならない。
2 委員会の委員長は、委員会において、中立かつ公正な立場で職務を遂行するとともに、委員会の品位を保持し、民主的かつ効率的な委員会運営を行わなければならない。
第3章 市民と議会との関係
(情報公開等及び市民参加の促進)
第6条 議会は、市民に対する議会活動に関する情報公開等を徹底し、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、情報公開等を通じて市民の自治意識の醸成及び市政への主体的参加を促進するものとする。
(議決責任)
第7条 議会は、議決責任を深く認識し、議案等の議決又は意思決定若しくは政策決定を行ったときは、市民に対して説明する責務を有する。
(会議等の公開)
第8条 議会は、本会議、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「会議等」という。)を原則として公開する。
2 議会は、市民による議会活動の評価に資するよう、全ての議案に対する各議員の態度を公表するものとする。
(公聴会及び参考人制度)
第9条 議会は、会議等の運営に当たり、公聴会及び参考人制度を十分に活用して、市民の専門的又は政策的な識見等を議会の討議に反映させるものとする。
(請願及び陳情)
第10条 議会は、請願及び陳情を提出者による政策提案と位置付け、これに誠実に対応するとともに、必要に応じて提出者の意見を聴く機会を設けるものとする。
(意見交換会)
第11条 議会は、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する意見交換会(以下「意見交換会」という。)を少なくとも各年度につき1回開催するものとする。ただし、災害その他やむを得ない理由により開催が困難であると認められる場合は、この限りでない。
2 議会は、意見交換会において得られた意見等を記録し、及び分析し、議員による検討を経て、政策立案等に反映させるものとする。
3 議会は、市民の意見を踏まえ、意見交換会の実施の方法及び頻度並びに意見交換会への市民参加のあり方について、継続的な改善に努めるものとする。
4 意見交換会の実施に関し必要な事項は、別に定める。
(議会広報の充実)
第12条 議会は、市政に関する重要な情報を、議会独自の視点から常に市民に周知するよう努めるものとする。
2 議会は、情報通信技術の発達を踏まえ、多様な広報手段を活用して、市民が議会及び市政に関心を持つよう広報活動に努めるものとする。
(広報広聴委員会)
第13条 議会は、広報機能及び広聴機能の充実を図るため、全議員で構成する広報広聴委員会を設置する。
2 広報広聴委員会に関し必要な事項は、別に定める。
第4章 議会と行政との関係
(議会及び議員と市長等との関係)
第14条 議会は、二元代表制の下、市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)との立場及び権能の違いを踏まえ、緊張ある関係を構築し、事務の執行の監視と評価を行うとともに、政策立案等を通じて、公平かつ公正な市政の発展に取り組むものとする。
(議会審議における論点情報の形成)
第15条 議会は、市長等が提案する計画、政策、事業等(以下「政策等」という。)について、議会審議における政策情報を整理し、当該政策等の水準を高めるため、市長等に対し、次に掲げる事項について説明を求めるものとする。
(1) 政策等を必要とする背景
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 市民参加の実施の有無及びその内容
(4) 他の地方公共団体の類似する政策との比較検討
(5) 総合計画における根拠又は位置付け
(6) 関係する法令、条例、規則等との整合性
(7) 政策等の実施に係る財源措置
(8) 将来にわたる政策等の効果及びコスト
2 議会は、政策等の提案を審議するに当たっては、それらの政策等の水準を高める観点から、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
(予算及び決算における政策説明)
第16条 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明を市長に求めるものとする。
(質問等)
第17条 議員は、会議等において質問又は質疑(以下「質問等」という。)を行うに当たっては、当該質問等の趣旨を明確にし、市政に関する論点を整理するよう努めるものとする。
2 質問等は、論点及び争点を明らかにするため、原則として一問一答方式により行うものとする。
3 市長等及びその職員は、議員に対して質問等の趣旨の明確化及び事実確認のため、議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
4 前項に規定する反問は、必要最小限の範囲において、簡潔に行わなければならない。
5 市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員又は委員会による条例の提案、議案の修正、決議等(以下「提案等」という。)に対し、当該提案等に関する審議の充実を図ることを目的として、反論することができる。
(議決事項)
第18条 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定に基づき、議会の意思形成を明確にするため、議会の議決すべき事項を条例により定めることができる。
(監視及び評価)
第19条 議会は、市長等の事務の執行について、その適正性、公平性及び効率性を監視し、及び評価し、必要があると認めるときは、改善に向けた措置を講ずるよう促すものとする。
第5章 議会運営
(自由討議の保障)
第20条 議長及び委員長は、議論が積極的に行われるように会議等を運営しなければならない。
2 議長及び委員長は、議員相互の自由討議を必要に応じて行うことができる。
(議会の合意形成)
第21条 議会は、言論の府であることを十分に認識し、議員相互の自由な討議を中心に運営するものとする。
2 議会は、会議等において、議員、委員会及び市長の提出議案並びに市民の提案に関して審議し、結論を出す場合は、議員相互の議論を尽くして合意形成に努めるものとする。
(委員会の運営)
第22条 委員会は、社会経済情勢等により新たに生じる市政の課題に迅速かつ的確に対応するため、委員会の専門性及び特性を活かすよう適切な運営に努めなければならない。
2 委員会は、議会の閉会中であっても、その所管に係る事務調査等を積極的に行うとともに、政策立案等を行うよう努めるものとする。
(議会活動の評価)
第23条 議会は、その活動の成果や運営状況について、自己評価とともに市民又は第三者の評価を導入するなど、多角的な評価体制を構築し、その結果を公表するものとする。
第6章 議会機能の強化
(議会の体制整備)
第24条 議会は、市長等の事務の執行に対する調査及び監視並びに議会における政策立案等に係る機能を強化するものとする。
2 議会は、前項に規定する機能の強化を効率的かつ効果的に図るため、その活動に当たっては、情報通信技術の発達を踏まえるなど、必要な技術を活用するものとする。
(災害時等の対応)
第25条 議会は、住民の生命又は生活に直接影響を及ぼす災害等が発生した場合は、住民及び地域の状況を的確に把握するとともに、市長等と協力し、市民生活の安定及び維持に努めるものとする。
2 議会は、災害時等における総合的かつ機能的な活動が図れるよう、体制の整備に努めるものとする。
(議員研修の充実)
第26条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図るものとする。
(議会事務局の体制整備)
第27条 議会は、議会の政策立案等の能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法制に関する機能の充実を図るよう努めるものとする。
2 議会は、議会事務局の体制整備のため、専門的な知識及び経験を有する者の積極的な活用を図るものとする。
(議会図書室)
第28条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の整備及び図書の充実に努めるものとする。
第7章 政務活動費
(政務活動費)
第29条 議員は、政策立案等を行うため、並びに調査及び研究に資するために交付される政務活動費の執行に当たっては、御所市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年御所市条例第13号)を遵守しなければならない。
2 政務活動費の交付を受けた議員は、公平性、透明性の観点に加え、その支出根拠が議会の議決事項である予算に依拠することから、市民等から疑義が生じないよう、議長に対して証票類を添付した報告書を提出しなければならない。
第8章 議員の政治倫理、定数及び報酬
(議員の政治倫理)
第30条 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって市民の疑惑を招くことのないよう、行動しなければならない。
2 議員は、御所市政治倫理条例(平成12年御所市条例第14号)を規範とし、遵守しなければならない。
(議員定数及び議員報酬等)
第31条 議員定数及び議員報酬等(以下「議員定数等」という。)の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するものとする。
2 議員定数等の基準は、人口、財政力及び市の事業課題並びに類似団体の議員定数等と比較検討するとともに、本市固有の地理的条件、地域特性等を考慮し決定するものとする。ただし、議員報酬の額については、御所市特別職報酬等審議会条例(昭和41年御所市条例第5号)に規定する御所市特別職報酬等審議会の意見を尊重するものとする。
3 議員定数等を改正する条例に係る議案は、市民の直接請求による場合又は市長が提出する場合を除き、議員定数等の基準等の明確な改正理由を付して、法第109条第6項又は法第112条第1項の規定により、委員会又は議員から提出するものとする。
第9章 最高規範性及び見直し手続
(最高規範性)
第32条 この条例は、議会において最も考慮されるべき規範であり、議会は、議会に関する他の条例、規則等の制定及び改廃並びに解釈及び運用に当たっては、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。
(見直し手続)
第33条 議会は、社会経済情勢等の変化、市民の意見等を常に勘案し、議会活動に関する不断の評価及び改善を行い、必要があると認めるときは、この条例の改正を含めて適切な措置を講ずるものとする。
2 この条例を改正する発議がされる場合には、当該発議をする議員は、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附則
この条例は、令和8年4月1日から施行する。ただし、第13条の規定は、令和8年5月1日から施行する。