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国史跡巨勢山古墳群 毀損箇所の復旧方法について

[2017年2月14日]

ID:1357

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国史跡巨勢山古墳群 毀損箇所の復旧方法

国史跡巨勢山古墳群 写真

 平成21年11月に発生した国史跡巨勢山古墳群の秋津原ゴルフクラブ(株式会社 秋津原)による打球練習場拡幅を目的とした毀損事案については、 平成25年5月10日に「史跡の現状変更等終了届」が同社から提出され、拡幅前の景観を修復する形で復旧工事が完了しました(上の写真)。

  毀損発生から復旧まで3年半を要しました。 この間、御所市教育委員会の下に結成された史跡巨勢山古墳群復旧委員会では5回の本会議に加え、3回の分科会を開催しました。同委員会には防災学、土木工学の大学教授や研究者なども加え、よりよい復旧方法を真摯に検討してきました。 文化庁、奈良県教育委員会の指導も得つつ復旧が完了しましたので、その復旧方法について、ここに掲載します。
  まず南西側、向かって左側の尾根の復旧方法について述べます。より毀損面積が大きく、4基の古墳の一部、および尾根斜面4,775.50㎡に被害のあった箇所です。
  まず、検討過程について概要を述べます。このたびの復旧工事のような種類の土木工事の方法としては、腹付け盛土による方法と地山補強による方法の大きく2者があります。
  しかし、前者の腹付け盛土による方法は、この箇所の復旧に採用するには大きな難点が2つあります。1つは、盛土の滑動を防止するための段切りが必要となるため、 さらに史跡部分を上部から削り取る必要が生じることです。もう1つは、施工後15年程度で盛土内排水施設が老朽化するため、元の地山面との境界に水が回りやすくなり、 大規模な地震が起こった場合、地滑りを起こす例が顕著に認められることです。以上から腹付け盛土による方法は相応しくないと判断されました。
  一方、後者の地山補強による方法は、グランドアンカーやロックボルトと呼ばれる金属製の杭を地山斜面に打ち込み、 それを支点にした工作物により地山を押さえつけて崩落を防ぐものです。 盛土を用いず地山の形状のまま補強するので排水の問題もなく、大規模な地震にも強い利点があります。
  地山補強による方法にはさまざまな手法がありますが、土塊の摩擦力不足が生じず、永久的な防食性能を実現したパワーネット工法が最も相応しいと判断されました。 また、パワーネット工法を採用した場合には、毀損直後の仮復旧により既に根付いた植生を撤去する必要が無く、史跡への影響が最も少ないことも利点です。 奈良県建築課と協議を行い、宅地造成等規制法のうえでの条件整備を経て採用が可能となりました。
  なお、墳丘部分のみでも旧状に復元する方法も各種検討しましたが、この場合、いずれの工法によってもその工事を行うことによって、史跡をさらに破損することは避けがたいという難点があり、 結果、全体と同様にパワーネット工法による補強のみとしました。
  また、このようにして地山補強を行っただけでは毀損したままの景観を残すことになりますので、緑色の防球ネットを尾根上部から下部にかけて斜めに強く張ることにより、 毀損前の尾根形状の景観を復元することとしました。
  次に北東側、向かって右側の尾根、毀損面積661.88㎡の箇所については、毀損面積が比較的小さく高さも低いので、ボーリング調査の結果もふまえた上で、 植生工を行うことで十分に強度を保つことができると判断しました。そして史跡範囲に打球が侵入することを避けるため、 手前に自立式の防球ネットを設置しました。
  なお、左右の尾根ともに史跡境界は、植生工を行った犬走りの上に、強固なコンクリート杭を設置することで示しました。特に高低差のある 左側尾根の場合には、犬走りの保護を目的として、その裾に排水のためのU字溝を設置しました。
  最後にこのたびの毀損事案の顕彰方法について述べます。1つ目は今読んで頂いているこの記事になります。これにより長く顕彰できるようにしたいと考えています。 2つ目は現地に説明看板を設置したことです。そこには史跡巨勢山古墳群の概要を示し、ゴルフクラブ敷地内に現存する古墳を図示して啓発を行うと共に、 ここで述べてきた復旧に関する考え方なども顕彰できる内容としました。ゴルフ場利用者の方に熱心に読んで頂いているということです。

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