令和元年度 奈良県学力向上フォーラム 発表資料
- [公開日:2020年3月17日]
- ID:2689
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御所市 夢・誇り・学びプラン ※市教委と学校で協働的に学力向上に取り組む※
御所市では、平成29年度より【御所市夢・誇り・学びプラン】を実施してきました。
プランの5つの視点
- 育みたい4つの力の明確化と向上
- 学力の全体的な向上と低学力層の減少を目標に
- 指標を作成することで、成果・課題の検証を行い、改善につなげる
- 市教委が実施する学力向上に関する総合的な事業
- 市教委の事業等を活用した市内各小・中学校の学力向上の取組
児童生徒に育みたい4つの力
- 学ぶ力 ・・・ 意欲的に学び続ける力
- 切り拓く力 ・・・ 目標をもち、未来に向かって努力する力
- 関わる力 ・・・ 他者や社会に積極的に関わり、つながる力
- 自律する力 ・・・ 規範意識をもち、自分をコントロールする力
指標1 「4つの力を総合的に育成する」
児童生徒に育みたい力 | 質問項目 | 児童生徒に育みたい力 | 質問項目 |
---|---|---|---|
学ぶ力 | ・国語の勉強は好きですか ・算数(数学)の勉強は好きですか ・家で、自分で計画を立てて勉強していますか ・家で、学校の授業の復習をしていますか | 切り拓く力 | ・自分にはよいところがあると思いますか ・将来の夢や目標をもっていますか ・ものごとを最後までやり遂げてうれしかったことがありますか ・難しいことでも、失敗を恐れないで挑戦していますか |
関わる力 | ・人が困っているときは、進んで助けますか ・学級みんなで協力して何かをやり遂げ、うれしかったことはありますか ・今住んでいる地域の行事に参加していますか ・地域社会などでボランティア活動に参加したことがありますか | 自律する力 | ・朝食を毎日食べていますか ・毎日、同じくらいの時刻に起きていますか ・学校のきまりを守っていますか ・いじめは、どんな理由があってもいけないことだと思いますか |
- 御所市の小・中学校ともに4つの力は伸びてきています。特に、小学校では「学ぶ力」が顕著です。これは、「算数の勉強は好きですか」の項目が、伸びを示したことによる影響です。今年度、市内の小学校では、算数科で授業研究をしていただいている学校が多く、その成果が子どもたちの算数好きの増加につながっていると考えられます。また、この項目では、市内7校のうち、5つの小学校で県平均を上回っています。中学校では、「関わる力」が伸びています。これは「今住んでいる地域の行事に参加していますか」の項目が大きく伸びを示したことによる影響です。
指標2 「学力の全体的な向上」「無回答率」
- 全国学力・学習状況調査においては、B問題での伸びが顕著です。今年度から、AB問題の区別はなくなっていますが、「知識」に関する問題をA問題、「活用」に関する問題をB問題として、集計しました。「知識」と「活用」の区別がなくなることにより、無回答率の増加なども懸念されましたが、無回答率を見てみると、小学校国語全体では、県全体よりよい結果がでています。
- 問題形式を見ていくと、小学校算数では、短答式、記述式の問題では9問中6問で県平均よりよい結果となっています。各校の取り組みの中で、「主体的・対話的で深い学び」の授業展開をしていただいている結果が、この短答式、記述式の問題に対しても、粘り強く取り組む姿勢に現れたのだと考えています。
- 中学校国語では、選択式の問題では6問すべてで県平均よりよい結果でした。うち、5問が無回答率0%でした。すなわち、全員が何かしらの解答をしていて、解答をあきらめていないことがうかがえました。
指標3 「低学力層の児童生徒の減少」
- 小学校では、算数Bを除いて、県平均に近づいてきています。また、中学校でも数学Bを除いて、県平均に近づいてきており、低学力の児童生徒に対する個別の取り組みや放課後学習等の効果が表れていると考えられます。
学力向上事業内容
事業 | 内容 |
---|---|
基礎学力向上事業 | 児童生徒の基礎学力の向上のため、漢字検定や役小角杯(計算力大会)への受検を補助する。 |
中学生キャリア教育推進事業 | 市内の中学生(2年)が一堂に会し、15種の職業人に、ブース形式で目的意識を持って話を聞き、授業意識を醸成する |
授業力向上サポーター事業 | 市内小・中学校の教員から授業力向上サポーターを委嘱し、サポーターによる公開授業や授業づくりの支援を行う |
ICT授業の推進事業 | デジタル教科書やeライブラリー、タブレットの導入を推進するとともに、ICT機器を活用した授業を推進するための研修を行う |
夢・誇り・学びプラン推進校授業づくり推進事業 | 推進校である市内学校が取り組む「子どもの考えが深まる」授業づくりのための取組を支援する |
学力向上フォーラム開催事業 | 推進校である市内各校の教員が一堂に会し、各校の学力向上の取組と成果と課題を共有し、市全体で学力向上に取り組む意識を高める |
優れた授業実践発信事業 | 推進校である市内各校の教員の優れた授業実践を収集し、その成果を市内各校の教員に広く発信する |
夢・誇り・学びプラン推進担当者会議開催事業 | 推進校である市内各校の夢・誇り・学びプラン推進担当教員が定期的に集まり、情報交換や研修を行う |
事業 | 内容 |
---|---|
家庭学習の定着促進事業 | 「御所市家庭教育の手引き」を作成し、市内小・中学校の保護者に配布し、家庭での学習の協力を促す |
スクールカウンセラー派遣事業 | 教育相談体制を充実させるため、臨床心理士を市内小・中学校に派遣する |
スクールソーシャルワーカー派遣事業 | 不安を抱える児童生徒や家庭を福祉面で支援するため、社会福祉士等を市内小・中学校に派遣する |
適応指導教室開設事業 | 不登校児童生徒を支援するため、適応指導教室を開設し、学習指導や登校に向けたサポートを行う |
宝物ファイル(TPF)推進事業 | 児童生徒の自尊感情を醸成するために、宝物ファイルによるポートフォリオを活用した取組を推進する |
特別支援教育支援員派遣事業 | 通常学級に在籍する支援を要する児童生徒を支援するため、特別支援教育支援員を市内小・中学校へ派遣する |
特別支援教育コーディネーター連絡会開催事業 | 市内各小・中学校の特別支援教育コーディネーターの情報交換と研修を行う |
放課後子ども教室・地域未来塾事業 | 学校・地域パートナーシップ事業を活用し、市内小・中学校において、大学生や地域の方と協働して学習支援を行う |
日本語指導支援員派遣事業 | 外国にルーツを持つ児童・生徒などで日本語指導支援が必要な児童・生徒を支援するため、日本語指導支援員を市内小・中学校へ派遣する |
学校司書派遣事業 | 児童生徒の豊かな本との出会いをつくり、学びを広げ深めるとともに、読書活動の充実を図るため学校司書を市内小・中学校へ派遣する |
学校司書派遣事業による効果



- 学校司書派遣事業では、来年度市内全校に学校司書が配置になる予定です。すでに配置されている学校では、学校図書館の中のデコレーションなど、環境整備が整えられています。また、貸し出しの電子化(バーコード管理)や読み聞かせ活動、図書委員などの委員会活動の活性化も、この事業で大きな変化がありました。


- 平成30年度から学校司書を導入した学校では、本の貸し出し冊数が大幅に増加しました。(図 『学校図書館における貸し出し冊数の経年変化』)
- 平成30年度に学校司書を導入した3小学校と1中学校の合計のデータを元に作成。平成29年度の奈良県学習状況調査と平成31年度の全国学習状況調査の読書時間を同じ母集団で比較しました。30分以上読書をしている子どもの割合が5.6ポイント伸び、10分以下の子どもの割合が減っていることがわかります。(図 『学校司書の導入による読書時間の変化』)
- 学校司書配置による効果として、学校図書館に足を運ぶ子どもが増えた、学校司書と話をする中で、自分が興味を持てる本を紹介してもらい、本を読む機会が増えたなどの声が聞かれるようになりました。
(御所市教育委員会 学校教育課 中島憲作)